ベトナム鋳物の歩き方
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1. ベトナムで鋳物って作っているの?
ベトナムは鋳物が盛んな国です。
筆者も、これまでハノイ地域を中心に50社以上の鋳造工場を訪問しました。
ハノイ地域では、ハノイ市内に鋳造工場は少なく、周辺地域のBac
Ninh 省、Hung Yen省、Hai Duong省、Thai Nguyen省、Ha Nam省、Nam Dinh省、Thai
Binh省、Hai Phong市などに多くの鋳造工場があります。
あるベトナム人に「ベトナムに鋳造工場って何社くらいあるの?」と聞いたところ、「星の数ほど」と回答がありました。確かに月産100Ton
程のベトナムローカル鋳造工場が数多くあり、「鋳物村」と呼ばれる地域も数多くあります。
ベトナムでは鋳物が「成長産業」となっており、新しい鋳造工場も次々と出来てきています。
新しく出来る鋳造工場は主に海外への鋳物輸出を目指しており、設備や品質管理もしっかりしており、ISOなども取得しています。
2. ベトナムでどんな鋳物が作られているの?
ベトナムで作られている鋳物は以下の通りです。
材質
FC(150~300)、FCD(400~700)、SC各種、SUS各種、Hi-Mn、Cr鋳鉄など日本で必要とされる材質はほとんど鋳造可能です。特に日本ではあまり作られなくなったCr鋳鉄はベトナムではポピュラーな材質です。
溶解
中周波電気炉、高周波電気炉を使用しています。 ローカルのほとんどは中国製電気炉を使用しています。1,000kg 炉1 基300 万円ほどで購入できるそうですが、3年ほどで壊れてしまうと聞いています。最近では台湾製電気炉(インダクトサーモ)を導入する鋳造工場も増えてきています。ローカル鋳造工場社長に聞くと、日本製電気炉を導入したいが、日本製電気炉は高価で導入出来ないとの事でした。中には、将来の夢は日本製電気炉の中古を買う事だというローカル鋳造工場社長もいました。
日系鋳造工場は、日本製電気炉(北芝電機、富士電機)を使用しています。
以前はよくあった停電、瞬間停電はほとんどなく、安定供給されています。
造型法
生型、自硬性、ロストフォーム、ロストワックスなどです。
生型はF1造型機が圧倒的に多いですが、最近は高圧造型機(DISA)、静圧造型機(FCMX)などを導入する企業が増えてきています。
自硬性はフラン造型法が主ですが、最近はアルカリフェノール造型法も日系鋳造工場を中心に増えてきています。特に鋳鋼、アルミ、銅合金を鋳造している工場は、アルカリフェノール造型法になっています。
ロストフォームは日本ではFC、FCDがほとんどですが、ベトナムでは鋳鋼でも多く利用されています。ただ、発泡スチロールの品質が悪く、塗型も自社で作っている鋳造工場が多いので、不良が多いのが実情です。
現在では発泡スチロールもPPS
樹脂を使用し、塗型も通気度が高く強度のある塗型を使う鋳造工場も出てきており、「日本品質」に近づいてきています。
ロストワックスについては、ホーチミン市にて台湾企業を中心として広く行われていますが、最近は北部でも検討が始まっています。ワックスではなく3Dプリンターを使用し小ロット品を鋳造する事を検討している企業もあります。
3. ベトナムの鋳物の品質は?
一般のローカル鋳造工場では、CEメーターも持っていない工場が多いのでいまひとつ信用できません。
一様に「カントバックを持っているので品質は大丈夫だ」と言いますが、「カントバックで検査してNGが出た場合は鋳物を全部捨てるのか?」と聞くと黙ってしまいます。カントバックではカーボン量が正確に出ない事は、皆様ご承知の事かと思います。
私達は話を聞くだけでなく現場を確認した上で、品質的にも信頼出来る鋳造工場だけとお付き合いしています。そういう工場を見つけるのも私達の重要な仕事です。
また当社では日本水道協会認定部品工場2社ともお付き合いをしていますので、水道部品も安心してご発注いただけます。
4. ベトナムの鋳物価格は安いの?
ベトナムの平均賃金は30,000 円~35,000
円/月の為に鋳物も安いと思われる方が多いと思います。
ベトナム国内で使用される鋳物については、ベトナム産銑鉄、ベトナム産合金鉄、ベトナム産ベントナイトなどを使用しているので、価格は確かに安いと思います。FC150
でkg110~120円という工場も沢山あります。
しかしながら「日本品質、海外品質」に対応した鋳物では、時には中国価格よりも高い場合があります。原因は、現在のベトナムにおいては「日本品質、海外品質」に対応できる原材料がないという事です。
銑鉄、合金鉄、ベントナイト、フラン樹脂、アルカリフェノール樹脂など珪砂以外は、輸入品で賄っているのが現実です。その為に材料費コストが高くなり、低価格の鋳物を供給できないというわけです。ベトナムで高品質の鋳物を低価格で供給できるようになるには、高品質のベトナム産原材料を供給できる体制を整える事が必要です。
現状、ベトナムで日本品質の鋳物を調達しようとする場合は、安い鋳物を買いたいというよりもチャイナ+1という考え方が必要かと思います。
5. ベトナムの鋳物の納期は?
ベトナムの鋳造工場に鋳物を発注して驚くのは、指定納期をキチンと守ってくれる事です。
例え遅れる場合でも事前に連絡をくれます。
中国では納期遅れは当たり前という事をよく聞きますが、筆者は今まで納期遅れで困ったという経験はありません。
発注から納品までのおおよその日程は、下記の通りです。
⼯程 | 所要⽇数 |
---|---|
⽊型、⾦型製作 | 受注後30〜45⽇ |
試作品鋳造 | 約1週間 |
量産品製造 | 応相談(1か⽉に何個出来るかは品物によって相談して決定します) |
輸送 | Hai Phong港から指定港まで7⽇間〜12⽇間 (直⾏便、韓国 釜⼭経由などがあり、⽇数が違ってきます) |
⽇本国内輸送 | 約1週間(通関で2〜3⽇ですが、デバンが必要な場合は数⽇余分に掛かります) |
量産品に関しては希望納期の45日前に発注をいただければ、おおよそ予定通り納品出来ます。
6. 中国の鋳物と比較してどうなの?
現在日本に輸出している鋳物につきましては、品質的には中国の鋳物よりも良いと思います。
日本到着後の鋳物の不良率は平均0.2%以下となっています。加工完での鋳物は、日本到着後の不良品はほぼありません。
また、日本到着後に不良品が発見された場合は、次回納品時に不良分を補填して納品してくれます。
中国では、不良品に対する補償をしてくれない工場が多いと聞いています。
不良分を補償してくれるという点が、中国と比較して大きな利点と言えます。
中国と比較しての欠点は、加工機を持っている鋳造工場が少ないという事が挙げられます。
現状、加工込みでの見積依頼を受けた場合は、工場が限られてしまいます。
しかし、加工機を入れる計画をしている鋳造工場も増えてきています。
どうしても加工機を入れられない鋳造工場は、周辺の加工メーカーと提携して対応していく体制を整えつつあります。
7. ベトナム鋳物でよくあるトラブルと対策は?
日系鋳造工場では、トラブルはほとんどありません。
ベトナムローカル企業でよくあるのは、「考え方の違い」によるトラブルという事です。
日本人は、日本の考え方をベトナム人に押し付ける傾向があります。
「こうやらないといけない」とか「その考え方はおかしい」とか相手に「日本のやり方」を押し付けがちです。
筆者も最初はそうで、たびたび口論していました。
日本でもベトナムでも、鋳造工場技術者は、これまで問題なく鋳物を作ってきたという自負を持っています。それを否定するような発言をしてはいけません。ましてや日本とベトナムでは商習慣や生活習慣、考え方が違います。
従来のやり方を否定することはせず、「それはわかるけど、こうやった方がいいよ」という風に押し付けるのではなく、アドバイスする方法に切り替えていきました。
こちらからのアドバイスで効果が出れば、お互いの信頼関係が強固になっていきます。
ベトナム人から信頼を得るのは時間が掛かります。
筆者もある国営企業の担当者から信頼を勝ち得るのに、約2年間掛かりました。
お互いを信頼し尊重するようになり、今ではトラブルはほとんどありません。
8. ベトナム鋳物調達の流れ
金森産業はベトナムにKANAMORI INDUSTRIES VIETNAM CO.,LTD.(以下「金森ベトナム」といいます)という現地法人を持っています。鋳物調達に関する業務は金森ベトナムで行います。
鋳物調達の流れ
- お客さまからの問い合わせに応じて材質、大きさ、数量等に合わせた最適な鋳造工場を金森ベトナムにて選定
- 選定した鋳造工場に見積依頼
- (価格のお打合せ後)選定した鋳造工場に発注
- 出荷前に必要に応じて金森ベトナムにて検品
- 日本への輸送
20FTコンテナもしくは40FTコンテナでベトナム Hai Phong港よりお近くの港へのCIF又はご指定場所へのDDP条件でお届けします。現状はお客様のお近くの港でデバンして、10t車などでお客さまの指定場所にお届けするDDP条件でのお取引が中心。